戦前に甲斐産商店(のちの大黒葡萄酒)から発売されていた「K.M印スィートホームウイスキー」の話である。
大正11(1922)年、皇太子殿下(のちの昭和天皇)が山梨県に行幸になり、その折宮崎光太郎に国産原料によるポートワインの製造を示唆された。これが契機となって、下落合の工場(東京工場)では本格的にポートワインの製造に乗り出すことになった。
またこの頃から、国産シャンペン酒「オーシャン」、高級飲料「ビクトリー」「K.M印スィートホームウイスキー」などの製造・販売も開始した。
なお、ブランデーについてはすでに明治25(1982)年頃から「大黒天印ブランデー」の製造・販売を行っていた。
こうして甲斐産商店の商品は多様化してきたのである。
現在の当社にとってなじみの深いブランドである「オーシャン」「ビクトリー」などが登場していることは興味深い。
いつ頃のものか、分からないが、一枚の商品群の写真がある。
そのなかに2本の「K.M印スィートホームウイスキー」が写っている。
左端上に1本。
右端に、化粧箱と一緒に並べられた(あるいは箱にボトルが描かれた)1本。
ラベル上部に大きく
SWEETHOME
WHISKY
その下、
菱形にKM の文字。
「K.M印」で、宮崎光太郎のイニシャルに由来だろう。
「K.M印」の両側に、何やら文字。
常識的に考えると、SINCE 1874 か?
真ん中に、何を描いたのか、分からない図案。
飛んで、ラベルの右下には、
TOKYO
さて、問題はその上である。
2本を見比べて、強引に読むと、
KAISANA CO
A ?
【参考図書】
■ 三楽50年史 (三楽株式会社社史編纂室、昭和61年5月発行)
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