竹鶴21年が、WWA2007に続き、WWA2009のワールドベスト・ブレンデッドモルトウイスキー部門で、世界最優秀賞を受賞したのはご存知のとおりだ。
久光チーフブレンダーによる受賞報告会が、南青山のブレンダーズ・バーで行われ、和気藹々としたたいへん楽しい会だった。
7月の1ヶ月間、ブレンダーズ・バーでは、ニッカウヰスキー創業75周年、WWA受賞、ブレンダーズ・バー開店5周年の記念特別企画として、終売になったプレミアム・ウイスキーが特別に提供されるので、ウイスキー好きはこの機会を見逃す手はない。
WWAに話を戻そう。
2001年に、シングルカスク余市10年が第1回ベスト・オブ・ザ・ベストを受賞したのを皮切りに、サントリーやニッカなどの日本のウイスキーがWWA受賞の常連になり、世界から高く評価されているのは、ウイスキー好きとしてたいへんに嬉しいことである。
スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズが、世界の五大ウイスキー。
WWAの部門別に見ると、
■ シングルモルト、ブレンデッドモルト、ブレンデッドに、スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズ、
■ アメリカンに、アメリカン、カナディアン、
が参加登録する。
ジャパニーズのエントリーがスコッチタイプ部門(シングルモルト、ブレンデッドモルト、ブレンデッド)というのは、竹鶴政孝翁の功績によるところが大だ。
さてスコッチタイプ部門は、エントリーするウイスキーと蒸溜所の数から見て激戦区である。
その激戦区で、毎年、ジャパニーズが名立たるスコッチの強豪たちを抑えて、なぜ世界最優秀賞を受賞できるのか?
ガスクロマトグラフ(質量分析計。ある技術者の話では、測定感度がppm(100万分の1)からppq(1,000兆分の1)オーダーに上がった)などの機器の高性能化に伴う、製造過程の解析の進化など、生産技術の優位性もあるだろうが、一番の理由は日本のウイスキー会社の特性ではないか。
原酒の樽売り、独立瓶詰業者という商習慣がない日本では、社内で原酒づくりから製品の瓶詰まで一貫した生産体制をとっているため、自社で色々なタイプの原酒をつくり分ける必要がある。
一方、スコットランドでは、蒸溜所毎に違う個性が売りであり、100余の蒸溜所は独自性を追求した原酒づくりを行っているため、ひとつの蒸溜所の原酒が同じタイプに片寄る傾向がある。
ブレンダーや商品開発者がイメージするウイスキー(製品)の混合には、いろいろなタイプの原酒をもつ日本の会社は有利であり、WWAの結果に繋がるのだろう。
表現力の豊かな絵を描くには、絵具の色の数は多いほうがいい!
ウイスキー好きやバーテンダーとの、バーでの酒飲話だが、果たして的を得ているだろうか?
#ニッカウヰスキー