「ここはVIPルームにしましょう!」
前の店の内装屋さんが提案してくれた。
「VIPルーム」・・・響きは良いけど。
その店は居酒屋さんの内装で、当然スケルトンにする予算もなく
カウンターを高くしたりイスを替えたり全体を洋風にするリフォームだった。
縦長10坪弱の店の奥に小上がりがあって、そこを別室にするというのだ。
最初図面を見た時からその案には抵抗があった。
そんな奥の空間を隔離してしまって2人でやるのにどうやって物を運ぶのか?
しかし若い二人ははっきりNOと言えず、なし崩し的に「VIPルーム案」は採決された。
嫌な予感ほど的中するものだが、的中どころか想像以上に悪いのだ。
出来上がったそれは4畳程のスペースに4人掛けのテーブル一つ
天井からは丸いスリ硝子のペンダントライトが吊るされていた。
狭さにも驚いたがまずエアコンの風が来ない。(エアコン1台で塞いだら当然ジャン!)
地下の店で窓がなく換気扇もないので、タバコも吸えないのだ。
こんなところに詰め込まれたらたまったもんじゃない。
見事な「逆VIPルーム」の完成である。
結局倉庫になった、今風に言うならウォークインクローゼットだ。
ただお金を掛けて客室に使えないだけならまだ泣ける。
囲っても小上がりのままなら我々の仮眠室にでも使えただろう。
(当時は朝5時まで営業してたんですよ、若いな~)
でも洋風にしちゃってるんで横にもなれない。
7万円もしたテーブルは贅沢な在庫のボトル置き場となった。
さすが「VIP」だ、お金の使い方が庶民感覚からかけ離れている。
泣くに泣けないとはこういう事を言うのだ。
この業者さんとは最後まで噛み合わずじまいで、OPEN後自分でアチコチ手を加えたものだった。
今度はこんな失敗しませんよ、オイラには心強い味方がいるのだ!
(その話はまた後日書くことにします)
#昔話になりますが