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氷室と地球温暖化!!



本家・日光「ふぃふぁ山荘」 2008年1月13日の記事より抜粋

この日(1月12日)氷屋徳次郎の番屋には重たい空気が流れていた。

4代目が心配そうにオヤカタの3代目に相談をしている。

「こういう場合、今のこの氷は全部割ってしまって、
もう一度造り直した方が良いのでしょうか?」

>こういう場合とは、、、

以前記事に書いたように、
地球温暖化が天然氷の生産に大きな影響を与えだしたという事である。

1月も中旬になる昨日(12日)、日光は朝から雨に見舞われた。

氷を張って、既に2週間が経とうとしている。
普通なら、1日1センチ 約半月で15センチの立派な天然氷が出来るのだが、
昨年からの、急激な暖冬傾向の日光では、
未だ氷の厚みが5センチにも満たないのであった。

天然氷にとって雪や埃は大敵!
雪が積もると、氷の温度が上がる為、氷が育たない。
埃が氷の表面に付くと、表面が解けて埃が氷の中に入ってしまう。
だから、毎日のように氷の上を掃除するのだが、、、



そこに、雨・雨・雨

日光の天然氷造りに雨は想定外の出来事なのである。
そして、追い撃ちのように天気予報では、夕方から夜中までの雪情報を流していた。

もし雪が降ったら、、、、

昨日は、なんとか氷の上に乗ることが出来る厚みだったのだが、
この雨で氷が溶け出している為、
雪や埃の除去には、氷が割れてしまう為、
氷の上に乗ることは出来ず、岸からの作業となる。

薄い氷が雨に濡れたビチョビチョの重たい雪で割れない為に、
雪が降っている最中も雪掻きをしなくてはならない。
そして表面の雪が氷ってしまうと商品価値がなくなる為、
雪が止んだら直ぐに表面を綺麗に仕上げなくてはならないのだ。
要するに、徹夜で雪掻きをする覚悟が必要になるのだ。

しかし、雪の量や時間によっては、いくら頑張っても氷は駄目になる可能性もある
ならば、今、この氷を割ってしまう方がリスクが少ないかもしれない、、
氷屋徳次郎の氷室は、決断に迫られていたのであった。

そして、オヤカタと4代目が出した結論は、
「やるっきゃない!!」

その日は、あるテレビ局の取材があるから、
その取材風景の写真を撮るお手伝いの為に
この場に居合わせてしまった管理人、、、

無情にも、お昼過ぎから大雪に、、、

降りしきる雪の中の除雪作業
重たい雪との格闘は、最悪の事態であった。



腰の悪い管理人は、写真を撮るのが大半でしたが、
ほんの少し手伝っただけでヘトヘトになるくらい重たい雪が、容赦なく氷を沈ませた。

掻いても掻いても直ぐに積もる途方も無いこの重労働を、
3代目のオヤカタは、一昨年前まで50年間
一人で行っていたと言うのだから脱帽である。



まだまだ、若い者には負けられね~!! と、
一緒に雪を掻いて頂いた3代目



幸い夕方には雪は止み、
仕上げの除雪に移る事が出来るようになり、
何とか徹夜は免れることが出来ました。





仕上げの除雪作業中




何とか目処が付いたので、
管理人は途中退場で東京への帰路につかせて頂きました。┏○ペコッ

その後、夜8時過ぎまで除雪作業は続いたそうだ。
皆さん本当にお疲れ様でした。

今朝4代目よりお礼の電話を頂いた。
氷は無事だった。

あの時、割らないと決断したのは正しかったですね。

今年もなんとか美味しいオンザロックが飲めそうだ!
いやいや、こういう苦労が分かると、きっと旨さ3倍増になるだろう。

今日から日光は、例年の寒さに戻る。

本家・日光「ふぃふぁ山荘」 2008年1月13日の記事より抜粋

#天然氷

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