ホルモン同好会での暴走はなかったことにして、粛々と記事をアップします。
スコットランド映画特集の2回目は、「ローカル・ヒーロー 夢に生きた男」です。
物語は、スコットランドから遠く離れたアメリカ、テキサス州で幕を開けます。
ヒューストンに本社をおく石油メジャーの社員で、独身生活を謳歌しているヤッピーのマッキンタイアは、石油プラントを建設するための調査でスコットランドに派遣されることになりました。
バート・ランカスター演じる会長のハッパーは、会長室をプラネタリウムに改造しているほどの天文マニアで、マッキンタイアを呼び寄せ、おりしも、現地で発生している流星群を観測して報告せよと、直々に命じます。
まったく無縁な土地のうえ、余分な仕事まで背負わされたマッキンタイアは、気乗りしないままスコットランドに旅立ちます。
アバディーンで合流した駐在員のオルセンも、車を運転中にウサギははねるわ、道には迷うわ、なんとも頼りない。
どうにか辿り着いた計画の予定地は、寂れた小さな漁村でした。
彼らが泊まった民宿の主人のアーカートは、会計士を兼ねている計算高い男で、村民との仲介役に名乗りでます。
交渉は難航するかと思いきや、海岸で暮らす一人の老人を除いて、貧しい暮らしに疲れた村民はみな協力的でした。
いっぷう変わってはいるけれど穏やかな人びとに迎え入れられ、二人は村での滞在を楽しむようになります。
恋も芽生えます。オルセンが日本語で口説くのが可笑しい。
そんなある夜、満天を彩るオーロラと流星を目のあたりにして、マッキンタイアの心に小さな変化が生じるのでした。
果たして、村の運命は、そして、マッキンタイアとオルセンのそれぞれの恋の行方はどうなるのか。
さて、この「ローカル・ヒーロー」にもウイスキーはよく登場します。とくに、「マカスキル」というモルト・ウイスキーは何度も出てきます。
マッキンタイアが歓迎のしるしに勧められたのが42年ものです。10年ものも飲んでいます。
架空の銘柄でしょうが、もしかすると、タリスカーの生みの親のマカスキル兄弟とゆかりのある、実在したウイスキーなのかもしれません。
村の場所は、ハイランドの西海岸、ロッキンヴァーの近くのようです。じつは、撮影は一箇所ではなく、スコットランド各地で行われました。スコットランド映画のロケ地が検索できるサイト、
によると、映画の象徴ともいえる赤い電話ボックスはペナン、パブはバンフ、海岸はモラーだそうです。
映画的な奇跡はなにも起きないのにファンタジックで、スコットランドが舞台の映画ではいちばん好きな作品です。映画すべてを見渡しても、ベストテンにはいるかもしれない。ぼくと同じファンは世界中にいて、ペナンの赤い電話ボックスは観光スポットになっています。
ほとんどが無名の役者のなかで、バート・ランカスターは際立った存在感を放っています。肉体派俳優が齢を重ねて達した、何人にも代えがたい佇まいですね。
ダイアー・ストレイツのフロントマン、マーク・ノップラーによるサントラもいい。ようつべでエンドロールに流れるテーマ曲を見つけたので、サイドバーにリンクしておきました。
とにかく、俗世の煩わしさをひととき忘れさせてくれる、お勧めの一本です。
ビル・フォーサイスとマーク・ノップラーのコンビ作は、「アイスクリーム・コネクション」もいずれ取り上げます。
#スコットランド映画