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MILTONDUFF

スコットランドのマレイ州の中心地エルギンの南西に、ブラックバーン(黒い小川)という良水の川があり、その周囲はイギリスで最も良質の大麦の産地と言われる一大穀倉地帯で、古くから密造酒のメッカとなっておりました。
そんな恵まれた場所で1824年に操業を開始したのがミルトンダフ蒸留所です。

ミルトンとは「工場のある所」という意味で、ダフはその土地がファイフ伯ダフ一族によって所有されるようになった後に付け加えられました。
建物はもともと直ぐ近くに在ったプラスカーデン修道院が経営する製粉所で、その修道院ではベネディクト派の修道層が古くからエール(上面発酵ビール)を作り、「スコットランドで一番美味しいビール」と言われていたそうです。
またエールだけではなくアクアヴィット、つまりウィスキーの蒸留も行っていました。

それ程ウィスキー作りに適した場所で生み出されるモルトは、なるほど!と納得するエレガントな仕上がりになっています。
テイスティングはGM社の10年物のボトルですが、グラスに鼻を近付けるとドライでオレンジの皮やハチミツのような香りが強く鼻をくすぐります。
口に含むと上品な甘味が舌を覆い、スムーズに喉の奥に流れて行きます。
樽由来のシャープな後味が口内全体に押し寄せ、スッと消えます。
そして心地よい苦味が満足感を高めてくれます。

1936年にハイラム・ウォーカー社が買収し、傘下のジョージ・バランタイン社が蒸留免許を取得して以来、バランタインやアンバサダーの主要原酒となっています。
それ故かあまりボトラーからは出回らず、以前有った緑のラベルのオフィシャル12年も、最近では余り見かけなくなったように思います。

癖が無くとても飲みやすいので、モルトの入門編に良いかも知れません。




          MILTONDUFF 10年 GORDON & MACPHAIL 40%  900円/30ml

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