広いお江戸の片隅で、年に六回しか催されなくても、演者が毎回、毎回、判を押したように同じ落語家であっても、寄席は寄席!ってもんだぁな。
その寄席のたったひとりの落語家が真打に昇進するってんだから、目出度ぇじゃねぇかい。
披露目の初日、上野鈴本の前は、ごらんのような長蛇の列だ。
こちらの相撲取り、じゃねぇ、恰幅のいいのが本日成り立てホヤホヤの師匠。
「師匠!」と呼ぶ方も、呼ばれる方も慣れなくて、なんかこそばゆくって、どうもいけねぇや。
師匠の趣味ってぇのが、
一に、ウイスキー、
二に、飛行機、
三、四がなくて、
五に、パソコン。
だから、こんな祝も届いてやした。
そいえば師匠、こんな本も出してたねぇ。
こないだ、本屋で立ち読みさせてもらいましたよ。(えっ、一冊、買えよって?)
ウイスキーといえば、東海一の街の麦溜が初めて伺ったバーで、五分も違わず、まるで待ち合わせたように、師匠とバッタリ会ったときは驚いたね!
赤い糸を感じましたよ。
えっ、男同士、気持ち悪いって?
そりゃ、そうだ。
さてさて、はなの年六のお席亭がフンパツしたのが、こちらの後ろ幕。
大きい写真も見せろって?
ハイハイ!
こちら、ハネ(追い出し)太鼓。
威勢がいいや。
初めて見たよ。
そぉいゃ、最近、立川流とか、円楽一門しか、聞きにいかねぇもんね。
たまには俺の居る落語協会も、聞きに来いとな?
ハイハイ、三之助「師匠」。(えっ、こそばゆいって・・・)
(麦溜小声で) 「落語芸術協会にも、義理を通さねぇとね」
(三之助師匠) 「聞こえちまってるよ!」(笑)
#[etc.] 心、ウキウキ!