「ある洋酒作りのひとこま」には、「昭和29年の塩尻工場配置図」が載っている。
塩尻蒸溜所(ポットスチルがあるところは工場でなく、蒸溜所と呼ぶことにしている)を知るたいへん貴重な資料である。
■ 敷地は縦長の台形。
■ 図面の下(蒸溜所の南側)に県道が通り、東へ約2㎞戻ると塩尻駅である。
■ 東側4分の1辺りに、南北に市道(私道ではない)が通っていて、蒸溜所を通り抜けできた。
■ 市道西側の大きな敷地(図面の左側)には、南から(図面の下から上へ)、
・ 正門
・ 車付け (車付けを囲むように、試験室、破砕室、倉庫など)
・ ブドウ酒醗酵室
・ 圧搾室
・ 地下貯蔵庫3棟 (南北方向に長い建物)
・ 貯蔵庫1棟 (東西方向に長い建物)
・ 樽場 (斜めの道路に沿って)
■ 市道東側には製品倉庫。
肝心のウイスキー設備は、ブドウ酒醗酵室と市道の間の細長い狭い敷地に、南から、
・ ウイスキー発酵室
・ ボイラー室 (ウイスキー発酵室の東北隣)
・ ポットスチル
と並ぶ。
ポットスチルでは、ブランデーも蒸溜していた。
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以下の写真は、塩尻蒸溜所跡である。
県道から市道を北方向に通り抜けて、公道に沿って、蒸溜所を左回りに一周することにする。
メルシャン私有地は立入禁止である。
県道から市道(北方向)を写した写真。
通行可能で、一般車両が2台停まって休憩していた。
車止め(上の写真の市道を数m入った辺り)から写す。
かつて左手にワイン製造施設、右手にウイスキー・ブランデー製造施設が建っていた場所。
いまは葡萄が植えられている。
上の写真の右端の葡萄畑が切れた場所に、ポットスチルを置いた蒸溜棟があった。
下の写真で見ると、葡萄畑の手前角の辺り。
上の写真と同じ地点から北西方向を写す。
地下貯蔵庫。
製造設備は撤去されて、この地下貯蔵庫3棟と、北側に建つ貯蔵庫の計4棟だけが残るのみ。
貯蔵庫。
手前の三角敷地の道路沿い(右手)に、樽場があった。
左が貯蔵庫、右が地下貯蔵庫である。
地下貯蔵庫3棟のうち、蔦の絡まる西側の1棟だけ、建物の形状が違っていたことが分かる。
夢の跡である。
ただしその夢は軽井沢蒸溜所へ引き継がれた。
【参考図書】
■ ある洋酒造りのひとこま (関根彰著。平成16年6月24日、たる出版刊)
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