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目分量

 料理の本を読むと、なにが何グラムで、かにが大さじ2杯などと書かれている。
 砂糖に醤油に酒にみりんなんて、一々量って入れてたら煮えすぎのグダグダな物が出来上がる。
 適当に少なめに入れて、ペロリとひとナメして足らない物は追加するぐらいで、ちょうど美味しく出来上がる。
 一度入れたら引くことは出来ないので、くれぐれも薄いぐらいを目指すのが肝心である。

 あくまで一部のバーでは、バーテンダーさんがシェイカーに酒やジュースを目分量で入れて、釈迦釈迦すると何故かカクテルグラスに表面張力でピタッ!
 開店当時は私も釈迦釈迦していたのだが、いまは注ぐだけのバーテンダーである。
 釈迦釈迦して、美味い酒を不味くして、あの世に送るのが嫌になったのだ。

 その代わり、グラスに注ぐ32mlとハーフの16mlは目分量で分かるようになった。
 毎日それしかしていないのだから当たり前?
 たまに売ってしまいたいオーダーが通ったら、ついつい手が滑ってもう少し多めになる。
 残り1ショットちょっとしか残っていないと、エイヤーで手を滑らす。
 お客様から”多すぎない?”とにこやかに文句を言われることはあっても、本気で文句をいう酒好きは少ないのだ。
 こっちは、少し多めを目指すのが肝心である。

 こんな事ばっかりやってるから、店がお釈迦様からお呼びが掛かっているのかも?

 

#徒然なるままに

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