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スゴイ看板

「静かに飲めない方、4名様以上でのご入店お断りいたします」

これは実際オイラが昔やってた店の入り口に貼っていた看板だ。
細かい言い回しは少し違うかもしれない、随分昔の話だから。
スゴイ看板を掲げてる店もあったもんだ。

4名様以上だから4人は入れないのである、3人までだ。空席があっても丁重にお断りする。
「4人でも静かに飲みますから」とおっしゃるお客様でも同じことだし、普段2人で来られる常連さんがたまたま団体で来られても融通は効かない。一見さん、常連さんで区別もしなかった。
それっきり来なくなるお客様もいらしたし、「この店はなんぼのもんやねん!」と激怒して帰るお客様もいらした。
こちらも辛いが看板にそう書いてある以上遵守せねばそれに合わせてお越しくださる3人までの客様に申し訳がない。
また3人までで来られても大きな声で話す方に注意を促す事は日常茶飯事だった。

それではなぜそもそも3人が限界なのか?それはカウンターだけの店だからだ、ボックス席がない。
2人と2人で話すのなら別だが、カウンターで4人並んで話すのは難しい。
話しにくいとどうしても大声になる、必ず端の人が反対の端の人に仲間を挟んで「飲んでる?」
と声を掛ける。
4人で来たのだから時々4人で飲んでいることを確認する必要があるのだろう。

だから基本的には4人以上になったらボックス席のある店に行くのが正解だと思う。
その方が喋り易いし、オイラなら一人で行く店・皆で行く店を使い分ける。

先日あるBarへ行った、そこはあるBarの2号店だ。
その店は逆L字型のカウンターで中央に10人以上座れる大きなボックス席があるという珍しい造りだ
大きなボックス席だが10人用という訳じゃなく普段は何組かのお客様が相席でお酒を愉しんでらっしゃるのだと思う。

ただオイラが伺った時は少し様子が違った、大きなボックス席とカウンター席の一部まで占拠する
団体さんが居らしたのだ。15人は居らしただろうか?
まあ人数はさておき、その音量が半端ではなかった。

店長らしき青年の作るジンフィズやダイキリは、さすがあの強面(こわおもて)のマスターが
自分の2号店を任せるだけあってキレの良い物だった。
お金を出して飲むなら少々高くてもこれくらいの物は飲みたいものだ。
この青年は一人で飲んでるオイラを気遣って「すみません、うるさくって」と何度も詫びるのだ
2杯飲んで店を出る時にも。

お店には何の責任もない、ましてや彼が騒がせた訳じゃあるまいし。
その中の誰かがこの店にこの人数で行こうと考えてタマタマは入れただけだ。
まあ飲んでるんだからそんなもんよ、団体さんやしね。
でもそこまで詫びるんならその口でちょっと団体さんにお願いしてもいいんじゃないかしら?
「すみません、一人で飲んで居られるお客様もいらっしゃいますんで、少しボリュームを・・・」
少しは静かになるはずですよ。

オイラが昔やってたことは邪道やし無粋やと思っている、だからお客様とのトラブルも絶えなかったし精神的にも辛かった。
もうあんなやり方はしない、オイラはお客様と一緒にお酒を愉しんで行こうと思う。

でもすごく騒ぐお客様が来られたらどうしよう?
一人で愉しんでるお客様がゆっくり出来なくて帰っちゃうレベルだったら。
オイラはあの青年のように帰るお客様に詫びるんだろうか?・・・それで良いのだろうか?

何が正解か未だに分からない・・・
ただオイラは騒ぐお客様にオイラの考えを理解していただく努力するほかないのだろう。
そのお客様を排除するんじゃなくて、一人で飲んでらっしゃるお客様にも居心地の良い店にしたいことを説明し理解を求めるのだろう。

で最後はお願いするのだ、「分かって下さい、そういう店にしたいんです」と。

#昔話になりますが

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