「ギムレットには早すぎる」
レイモンド・チャンドラーの不朽の名作「長いお別れ (The Long Goodbye)」に出てくる名セリフ。
そのギムレットに使用されるライムこそローズ社のライムジュースです。
現在でもアメリカ等で販売されていますが、写真のボトルは旧ボトル。
ちゃんと流通時期を調べてないのでアレですが、
オンス表記、739mlとなっているので70年代以前でしょうか?
残念ながら当店では取扱いはありません。
「ギムレットの作り方を知らないんだね」と彼は言った。
「ライムかレモンのジュースをジンとまぜて、砂糖とビターを入れれば、
ギムレットが出来ると思っている。
ほんとのギムレットはジンとローズのライム・ジュースを半分づつ、
他には何も入れないんだ。マティーニなんかとてもかなわない」
お酒を嗜む方なら思わず「飲んでみたい」と思わせる絶妙な言い回しですね。
昔も今も日本国内では手に入らないので、
「小説を見て、ローズのライムをすんごい探したー」という方も多いのではないでしょうか?
そんなローズ社のライムジュースを頂きました。
香り:爽やかな酸味、フレッシュ
味 :濃厚なライム、梅、プラム、レモン、柑橘系
余韻:甘酸っぱい酸味が残る
総合:飲めたこと自体がすごく嬉しいです。
かつて「飲みたい」と強く思っていた方ほど、その分の思い出を味わえるのではないでしょうか。
さて、この作品中で語られる「ほんとのギムレット」。
レシピを見て分かる方は分かるかと思いますが、
すんごく甘いです。
平たい言い方をすると甘ったるくておいしくないという方が多数かもしれません。
そうとうなひねくれ者であって、このギムレットはそれを象徴するものとして
描かれています。
しかも皮肉が効きまくっているシリーズなので、
読者の間で見解が分かれることもしばしば。
もともとのギムレットの起源の、軍艦上で、支給されたジンを
ストレートで飲んで酔っ払い&急性アル中が多発したため、
ライムで割って飲めと船医者が指示した・・・
という下りから考えると、ハーフ&ハーフが最初だった
というのは本当かも、という気もしますが・・・。
私としては、
テリー・レノックスは”わざと”このギムレットを頼んでいた。
フィリップ・マーロウもそれを”分かっていて”この酒に付き合っていた。
と思っています。
なんにしても思い入れのお酒(ライムなのでお酒ではありませんが)
を飲めるというのは感動的な体験でした。
鹿児島のBAR「SAMSARA」さんで頂きました。